消費税の仕組み

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※本稿は2015年2月10日にLAOアライアンスのサイトへ寄稿したものです。

 

今回は、消費税の仕組みを説明いたします。

消費税は、原則として、「預かった消費税」から「支払った消費税」を控除した額を納付するという仕組みになっていますが、それを説明する前にまずはどのような人が消費税を納税しなければならないか?という点から説明していきます。

納税義務者

消費税は、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡等」について課されます。つまり納税義務者となり得るのは「事業」を行っている事業者(会社及び個人事業主)ということになります。たとえば、個人的に自家用車を売却した場合、「対価を得て行われる資産の譲渡等」ではあるものの、「事業」としてではないため、消費税を納める義務は生じません。ただ、事業を行っていれば必然的に納税義務があるわけではなく、下記のいずれかに該当する事業者にだけ納税義務が生じます。

・2年前の消費税が課される売上が1,000万円を超えている場合。
・前年の最初の6か月で消費税が課される売上が1,000万円を超えている場合、または、給与が1,000万円を超えている場合(判定基準は自分で選べます)。
・設立1年目、2年目の会社の期首資本金が1,000万円以上である場合。
・設立1年目、2年目の会社の期首基本金が1,000万円未満で、親会社の消費税が課される売上が5億円を超える場合
・会社の合併や分割などをして一定の要件を満たす場合
・上記に該当しないが届出の提出により自ら消費税の納税義務者となった場合

※平易な表現にしているため条文上の書き方とは異なっています。ご了承ください。

消費税のかかる取引

納税義務がある場合は、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡等」について消費税が課されますが、そのすべてに消費税が課されるわけではありません。消費という性質になじまないものや、政策上消費税を課さないこととされているものについては非課税とされています。土地の貸付や、保険診療費、住宅の家賃などです。また、お金のやりとりをしているものの事業上のものでない場合や、対価性のない場合には消費税は不課税とされます。給与の支給(雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行われるものではない)や寄附(あげるだけで「対価」はない)をした場合などです。

納税義務のある事業者が消費税のかかる取引をした場合、消費税が課されるのでその対価に消費税が含まれることになります。たとえば1,000円で商品を販売した場合や仕入れた場合は、1,000円が税込価格となり、本体価格926円、消費税74円となります。

ところで、支払先の事業者に納税義務がない場合、支払った消費税はどうなると思われますか?

この支払った消費税は国に納付されることなく、すべて事業者の売上となります。つまり、消費税相当額はその事業者の利益となってしまうのです。益税と言われる問題を聞いたことがあるかもしれませんが、これがその1つです。

納税額の計算

消費税の納税義務のある会社は原則として決算日後2か月以内に、個人事業主はその年分を翌年3月31日までに消費税の確定申告書を提出し、納税しなければなりません。そのため、納税額を計算しなければなりませんが、計算方法は2種類あります。

(1)原則的な計算方法

原則どおり、預かった消費税から支払った消費税を控除する方法です。

計算方法は、まず、計算期間内において計上されている消費税のかかる売上(課税売上)と消費税が非課税とされる売上(非課税売上)の合計額に占める課税売上の割合を求めます。その割合に応じて控除することができる支払った消費税額が算出されるというルールになっています。この割合が95%以上であれば基本的に支払った消費税の全部を控除することができますが、95%未満の場合は全部を控除することはできず、少し面倒な計算をして控除できる額を算出します。この点を詳しく説明すると非常に難しくなりますので割愛しますが、土地の売買や貸付、居住用不動産の賃貸などをしている不動産業や保険診療が多いお医者さんなど非課税売上が多い(課税売上の割合が少ない)ので、95%未満になることが多く、単純に「預かった消費税」から「支払った消費税」を控除しただけでは納税額が計算できませんので注意が必要になります。

納税額は「預かった消費税」から「支払った消費税のうち課税売上の割合に応じて計算された一定額」を控除した額ということになります。もし、「預かった消費税」より「支払った消費税のうち課税売上の割合に応じて計算された一定額」が多い場合には、支払過ぎた消費税の還付を受けることができますので、還付申告書を提出することになります。

(2)簡易的な計算方法

原則的な計算方法では「支払った消費税のうち課税売上の割合に応じて計算された一定額」を算出するのに手間がかかるので、簡易的な方法で計算した額を支払った消費税とみなすことができる特例が用意されています。これを「簡易課税制度」といいます。

この特例は、事業を第一種事業から第六種事業に分類し(平成27年4月1日以後。それまでは第五種まで)、その事業ごとに、預かった消費税に対する支払った消費税の割合(みなし仕入率)を定めて支払った消費税を算出するのです。たとえば、卸売業のみなし仕入率は90%ですので、預かった消費税が300万円だったとすると、実際に支払った消費税がいくらであるかは関係なく、270万円が支払った消費税とみなされ、その差額30万円を納税すればよいことになります。

この簡易課税制度は、事前に届出を提出しておくことと、2年前の課税売上が5,000万円以下であることが要件となります。

ところで、みなし仕入率を適用する以上、還付が発生することはあり得ませんので、実際に支払った消費税が経常的に多く還付になると事前にわかっている場合には、簡易課税制度の届出を提出しないほうがよいでしょう。一度適用をしたら最低でも2年は簡易課税の方式で計算しなければなりませんのでよくよく検討してから届出を提出しましょう。

なお、実際に支払った消費税が、支払った消費税とみなされた額よりも少ない場合、その差額分の消費税は納税されず事業者の利益となることから、益税問題の1つとされています。

まとめ

前回記載したように、消費税の滞納は非常に多いです。会社を経営していくうえで税金の滞納は資金調達等にも多大な影響を及ぼします。滞納対策として納税資金として別口座に積立てしておくことも一つの方法です。資金繰りが苦しいこともあるとは思いますが、滞納だけは避けるようにしましょう。