青色申告の承認申請書の提出を忘れた場合の緊急対策(法人限定)

※本稿は、2013年12月17日にLAOアライアンスのサイトへ寄稿したものです。

 

法人を設立したら税務署へ設立届などの書類を提出する必要があるが、大抵の法人が青色申告の承認申請書(以下「青色申請書」という。)という書類も 提出する。これは青色申告書を提出することで適用を受けられる特典、例えば、欠損金の繰越控除や30万円未満の少額減価償却資産の損金算入制度など、を受 けるために提出するものだ。
こういう類の申請書や届出書は、希望する事業年度から適用を受けるためにいつまでに税務署に提出しなければならないという期限がすべからく設けられている。

 

青色申請書の場合、原則として適用を受けたい事業年度の開始の日の前日までに提出が必要だ。ただし、法人の設立初年度から適用を受けたい場合には、設立日から3か月以内となり、その3か月の間に最初の決算日が来てしまう場合にはその決算日の前日までに提出が必要だ。

 

税理士が関与していない場合、日々の会社経営に忙殺され、こういった届出の提出を忘れてしまう場合がある(設立届すら!)。例えば、7月1日設立、10月 31日決算法人の場合、9月30日までに青色申請書を提出しておかないと、設立第1期の法人税の申告書は白色申告となり、損失が生じたとしても来期以降に 繰り越せず切り捨てられてしまうなどの実害が生じる。さらに11月に入って青色申請書を提出していないと気付いた場合には、設立第2期も白色申告になって しまう。第2期から青色申告とするためには、第1期の決算日まで、つまり10月31日までの提出が必要であったのだ。

 

上記のように11月に入って青色申請書の未提出に気付いた場合、青色特典の適用を受けられないことによる損失を最小限に留めるにはどうしたらよいだろうか。
答えは、定款変更により会計期間を変更し決算日を11月30日として11月30日までに青色申請書を提出することだ。定款変更は登記事項でないため臨時株主総会での決議があれば変更できる。
これで第2期は11月1日から11月30日までの1か月間となり、12月1日から第3期がスタートすることになる。第1期と第2期は白色申告となってしまうが、11月30日までに青色申請書を提出すれば、第3期から青色申告が可能となるのだ。

 

 

【定款変更しない場合】
第1期(X年7月1日~X年10月31日):白色申告
第2期(X年11月1日~X+1年10月31日):白色申告
第3期(X+1年11月1日~X+2年10月31日):青色申告

 

 

【定款変更する場合】
第1期(X年7月1日~X年10月31日):白色申告
第2期(X年11月1日~X年11月30日):白色申告
第3期(X年12月1日~X+1年11月30日):青色申告

 

この方法のデメリットは、第2期をたったの1か月だけで確定申告をする必要があるため税理士に依頼すると少額とはいえ費用がかかる点だろう。しかし、損失の繰越ができないことによる将来の税負担などを考慮すれば安いものだと考える。

 

税理士が関与することで、会計期間を変更する等のアイディアが出てくることは勿論だが、そもそも青色申請書の提出忘れなどを防げるので、設立当初のこう いった事務手続きは税理士へアウトソースするなどして本業に注力してもらいたい。なお、会計期間の変更が出来るのは法人だけであり、個人事業主は出来ないの でご注意いただきたい。

 

最後になるが、上記の例の場合、状況によっては別な方法もあるのだか、前提条件がいくつかあるためあえて記載していない旨、ご理解いただきたい。
税理士 栗田倫也